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厳島神社の反橋 ~重要文化財の橋では最古の橋~

有史以来、日本では数多くの橋が造られてきましたが、そのほとんどは木造の橋であったため、長い年月を経て腐って朽ちてしまったり、あるいは洪水や氾濫により流されたり、焼失したり、戦乱期に破壊されるなどして、建造当初の橋はほとんど現存していません。

そんな中、文化的にも建築史的にも特に貴重な存在とされる、国内の18の橋(木橋5・石橋13で、その大半は社寺境内の橋)は重要文化財の指定を受けているのですが、現存しているそれらの重要文化財の橋の中でも最古の橋として知られるのが、広島県廿日市市(旧宮島町)に鎮座する厳島神社の境内にある「反橋」(そりばし)です。
下の写真が、昨年2月に同神社を参拝・見学した際に私が撮影してきた、その反橋です。
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海に浮かぶ優美な情景で知られ、平成8年には世界遺産にも登録された、宮島の厳島神社(全国に約500社ある厳島神社の総本宮)は、6~7世紀に創建されたと伝えられていますが、現在のような姿になったのは12世紀で、同神社を平家一門の守り神として篤く崇敬した、時の天下人・平清盛によって本格的に整備されました。
その厳島神社境内にあるこの反橋は、「勅使橋」という別名を持っており、かつてはその別名の通り、勅使(天皇陛下のお遣い)が参拝する時に使用されていました。ただ、橋の反り(勾配)が大きく、そのままでは渡る事が困難なため、実際にこの橋が使われる時は、床板の上に仮設の階段が設けられたそうです。

また、この反橋には現存する最古の擬宝珠(ぎぼし)が付いており、そこには弘治3年(1557年)に毛利元就・隆志元が造営した旨の銘があります。
反橋は、昭和26年には床板や桁の一部と支柱の根継ぎなどの修理が行われ、今も美しい姿を保っていますが、現在は橋本来の用途である通路としては使われておらず(立入禁止です)、貴重な文化財、装飾的な橋として、厳島神社の優美な情景を更に引き立てています。
厳島神社といえば、海上に浮かぶ大鳥居や廻廊、国宝の本殿・平舞台・高舞台などが特に有名であり、それらに比べると反橋はあまり知られている存在とはいえませんが、同神社に行かれた際には、是非反橋も併せて御見学下さい!

ちなみに、以下の写真はいずれも同神社境内で私が撮影したもので、各社殿間を結ぶ海上の廻廊もなかなか幻想的な雰囲気を醸し出しており、見ていて飽きる事がありません。
なお、廻廊の床板の間には目透しという隙間が作られており、この隙間は、高潮の時に下から押し上がってくる海水の圧力を弱めたり、海水や雨水を海へ流す役目を果たしているそうです。
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by bridgelove | 2008-11-29 05:15 | 神社仏閣の橋