津軽海峡大橋プロジェクト
2008年 07月 24日
日本の四大島の中で唯一道路では結ばれていない北海道と本州を結ぶため津軽海峡に、世界最大・最長の明石海峡大橋をも上回る超長大な吊橋(全長約19km、中央支間長4km、4車線)を架け、北海道と本州を道路で直結させて日本列島を縦貫する高速交通の大動脈を完成させようという、壮大な構想です。
なお、下の地図で北海道の福島町と津軽半島先端の竜飛崎を結んでいる点線(地図の左側)は青函トンネルです。
津軽海峡大橋は、この地図上では図示されていませんが、北海道の函館市と下北半島先端の大間崎を結ぶルート(地図の右側)での建設が現時点では最有力視されています。
また、費用以外にも、津軽海峡とその周辺の景観の問題、橋脚施設の塩害対策、強風・積雪・路面凍結時等の道路の安全確保や、国際海峡である津軽海峡の荒波・水深・航路確保など、避けては通れない技術的な課題が山積しており、津軽海峡に橋を架ける事は、最新の架橋・土木・建設技術をもってしても容易な事ではありません。
ちなみに、もし橋ではなく、青函トンネルのように海底トンネルを津軽海峡に建設する場合は、景観の問題、荒波・水深・航路確保等の問題はクリアされるものの、以下のような新たな問題が生じ、その建設は吊り橋同様、やはり、あまり現実的ではありません。
① 長大トンネル内の排気ガスの換気は技術的に困難(青函トンネルの場合は、電車と電気機関車が通るのみなので、排気ガス対策は全く考慮する必要がありません)。
② 長大トンネル内での交通事故や火災防止に対する対策が困難(青函トンネルの場合は、事故・災害対策として、トンネル内に二つの海底駅が緊急避難場所として建設されました)。
③ トンネル長が15kmを越えた場合はトンネル内にパーキングエリアを、50kmを越えた場合はトンネル内にサービスエリアを設置しなければならないが、パーキングエリア、サービスエリア共に長大な海底トンネル内に設置する事は技術的に困難。
④ 本坑(車道)の他に、先進導坑・作業坑・立坑・斜坑など複数のトンネルを海底下(しかも青函トンネルよりも地盤が弱い場所)に建設する必要があり、技術的に困難。
ただ、橋にしろトンネルにしろ、津軽海峡が車で横断できるようになると、その道路は、現在建設中の北海道新幹線と共に北日本の国土軸の中核を担う事になり、北海道~本州間の物流・観光・交流の活発化、“青函圏”という新たな経済圏や文化圏の出現を促す役目、生活道路や災害時の避難経路としての活用などが期待でき、実際に津軽海峡大橋が建設・運用される事により生じるメリットは、決して小さくはありません。
まだ実現の目処は全く立っていませんが…。