宗谷海峡大橋の件(その3)

11月4日の記事でお伝えした、現在サハリン州により積極的に推進されている、宗谷海峡大橋計画に関しての続報です。
以下は、今月19日の北海道新聞(朝刊)に掲載された『サハリン-大陸 架橋構想 ロ大領領が推進の意向』という題の記事です。

【モスクワ18日加藤雅毅】タス通信によると、ロシアのメドベージェフ大統領は十八日、ロシア中部イジェフスクでのロシア地方メディアとの懇話で、サハリンと大陸を橋で結ぶ構想に関し、「設計などの準備のため百十億ルーブル(約三百九十億円)を計上した。このプロジェクトは生きている」と述べ、推進する意向を示した。
大統領は「国際金融危機ではあるが、交通基盤の発展は優先課題だ。サハリンのプロジェクトも続ける」と明言した。
サハリンと大陸を橋またはトンネルで結ぶ構想は、旧ソ連時代から何度も浮上。サハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事は、宗谷海峡にも大橋を架け、大陸-サハリン-北海道を結ぶ構想を発表している。大統領のお墨付きを得たことで、構想実現の機運が盛り上がりそうだ。


この記事を読む限りでは、メドベージェフ大統領のお墨付きを得たのはあくまでも大陸~樺太間の架橋計画であって、樺太と北海道を結ぶ宗谷海峡大橋については大統領は特に言及しなかったようですが、しかしそうであったとしても、宗谷海峡への架橋計画を進めている人達にとっては、今回の大統領発言は朗報といえるでしょう。
もっとも、私にとっては「橋を造るウンヌン言う前にまず北方領土返せや、(`Д´)ゴラァ」って感じですけど(笑)。

ところで、以前の記事でも述べましたようにロシア側の計画では宗谷海峡大橋は鉄道橋を想定しているようですが、しかし、そもそも巨費を投じて宗谷海峡に長大橋を建設し、更に両国の鉄道のレール幅を克服してまで、日露間に直通列車を走らせる需要があるのか、という疑問が以前から私の中にあったのですが、将来性はまだ不透明ながら貨物輸送に関しては、一応その需要は見込まれているようです。
以下は、今月21日の北海道新聞(朝刊)に掲載された『シベリア鉄道でマツダ車モスクワへ』という題の記事です。

自動車メーカーのマツダ(広島県府中町)はロシアへの新車輸出で、シベリア鉄道による輸送を始めた。モスクワまでの輸送期間は、海路の三分の一近くまで短縮される。価格面など課題も多いが、シベリア鉄道が、拡大する日露貿易の「大動脈」に成長するか、試金石となりそうだ。
(中略)マツダ車の鉄道輸送は九月下旬に始まった。約三十両編成の貨車は上下二段に仕切られ、一両に約十台の車両を積むことができる。
広島などからウラジオストク近郊の港まで船で運ばれ、シベリア鉄道でモスクワへやってくる。日本を出てから到着まで十八日間。従来は、フィンランドまで船で運んでから陸送し、約五十日間かかっていた。

欧州でマツダ車を販売するマツダモーターヨーロッパ(ドイツ・レバークーゼン)によると、ロシアでの一-九月の販売台数は、前年同期比81%増の六万百二十五台。シベリア鉄道での輸送は「車体に傷がつくこともなく期間も予定通り。サービス向上につながる」(オルセン副社長)。年内に八千台、来年はロシアで販売する約八万台のうち三分の一を、鉄路で運ぶ計画だ。
シベリア鉄道を管理するロシア鉄道のヤクーニン社長は「トヨタも来年から部品輸送を始めるはず」。トヨタのサンクトペテルブルク工場への部品輸送が実現すれば、苫小牧工場から輸出される可能性も出てくる。中国や韓国からは、自動車部品や家電製品の輸送が動き出しており、日本への波及を期待する。

課題も多い。輸送量は「コンテナ貨物で海路より15-20%割高。完成車はそれ以上だろう」(商社関係者)。日本側は、料金安定や税関手続き簡素化を求めているが「目立った改善はみられない」(日ロ外交筋)という。国内の自動車販売産業保護を目的とした、ロシア政府の関税引き上げの動きも懸念材料だ。
日ロ間の貿易額は二〇〇七年、前年比57%増の約二兆五千億円に達するなど急伸している。シベリア鉄道の物流に詳しい環日本海経済研究所(新潟市)調査研究部の辻久子研究員は、「ロシアのインフレで値上げが続けば価格競争力を失いかねないが、日本側が求めてきた安全性や定時運行は確保されている」と指摘。価格さえ落ち着けば日ロの大動脈になりうるとの見方だ。


マツダ車の輸送に使われている貨車はいずれも有蓋貨車(屋根や壁のある貨車)であるため、積載している車は外に露出しないようになっており、また、積載している全ての車の車体には、傷がつかないよう白い保護シートが張られており、安全性にも十分な配慮がなされているそうです。となると、やはり最大の課題はコストなのでしょう。

間宮海峡を横断する橋の架橋についても、最大の課題は技術的な事よりもコスト的な事といえそうですし、宗谷海峡大橋を建設するに当たっては、それに加えて、更に困難な政治的な問題(日露両国の外交・領土問題など。そもそも日本の公式見解としては南樺太の帰属地は未だ未定)も立ちはだかる事になり、宗谷海峡への架橋計画が今後ロシア側により具体化してくると、今はこの計画に対してほとんど無反応の日本政府(そもそも日本ではこんな計画がある事自体知らない人の方が多いと思います)がそれに対してどのような対応をするのかという点も興味深いです。
ただ、日露間の物流の需要が今後更に高まったとしても、日本としては当然、国防や安全保障という観点からも宗谷海峡大橋の建設には慎重に対応していかなければならない事は言うまでもありません。

ちなみに、下図がシベリア鉄道の路線図です。
もし宗谷海峡大橋が開通すれば、この鉄道と日本国内(JR)の線路が連結する事になるのかもしれません。もっとも、日露両国の鉄道はレール幅が違うので、現状のままでは線路の連結は困難ですが…。
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by bridgelove | 2008-11-22 05:51 | 海外の橋