聖地・高野山奥之院に架かる橋

私は今まで何回か(多分4回くらい)、和歌山県高野町の高野山に参詣に行っています。
うち1回は高野山内にある大師教会という施設で2泊し、あとはいずれも高野山内の宿坊で1泊ずつ泊まり、山内の各所を見学したりお参りしたりしてきました。
私は元々神社仏閣をお参りしたり見学したりするのが好きなのですが、私が今まで見て周った仏閣の中では、高野山は特に私の好きな寺院の一つとして挙げる事ができます。

「宗教都市」「聖地」などと言われるだけあって、高野山には至る所に寺院やお堂、お社などが点在していますが、その高野山の宗教的な中心となっているエリアは、大きく3つに分ける事ができます。総本山金剛峰寺、壇上伽藍、奥之院です。
そして、この3つのエリアの中でも特に聖なる場所とされているのが奥之院で、奥之院エリアの最も奥深い場所に建っている弘法大師御廟には、真言宗開祖の空海(弘法大師)が今もここで生きたまま禅定に入られていると信仰され、ここは真言宗全派の僧侶・檀家・信徒達にとって最大・最高の聖地とされています。

奥之院入口からその弘法大師御廟までは約2kmの距離があり、この間の参道の両側には、巨大な老杉、苔むした五輪碑や墓碑、塔婆などが延々と建ち並んでおり、その景観は一種独特であり、それでいてなかなか壮観です(奥之院にある墓石の数は二十万基を越えているだろうと言われています)。
私が初めてこの参道を歩いたのは午前5時半頃の早朝でしたが、朝靄がかかっている中で、他に参拝者が全く歩いていない老杉の下の参道を、無数に林立する墓石を眺めながら歩くと、「人は死んだ後、三途の川を渡って冥府(よみ)の国へ旅をするといわれているが、その旅路の光景は、今自分の眼前に広がっているこんな光景なのかもしれない」とふと思ったりしました。早朝の奥之院は、そう思ってしまう程霊感に打たれる、とても幻想的で宗教的な場所でした。

そして、その奥之院の参道には「一の橋」「中の橋」「御廟橋」という3つの橋が架かっているのですが、下の写真は、奥之院参道入口に架かっている「一の橋」です。
ここから奥之院の聖域がスタートします。奥之院のエリアが「あの世」を模しているのだとしたら、この橋はあの世とこの世の境界とも言える橋です。
ちなみに、車両は通行できません。
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下の写真は、奥之院参道に架かる3つの橋の中では最も弘法大師御廟に近い橋である「御廟橋」です。写真に写っている正面突き当たりのお堂は「燈籠堂」といい、弘法大師御廟はこのすぐ後に建っています。
この橋から奥は、奥之院エリア全体の中でも特に清浄な聖域ですから、僧侶は必ず、一之橋とこの御廟橋を渡る時は行きも帰りも恭しく拝礼する慣例になっており、また、一般の参拝者も御廟橋から奥は写真撮影が禁止されています。そういった意味では、小さいながらもかなり存在感のある橋です。
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御廟橋の橋板は36枚ありますが、これは、金剛界三十七尊を象ったもので(橋全体を一つに数えて37枚)、橋板の裏にはそれぞれの仏名が書かれているそうです。
橋の上からは、玉川の清流の中に立てられている、流産や水子の霊を弔う卒塔婆も見る事ができますが、この塔婆を見ると、ここが極めて非日常の宗教的な空間である事を改めて実感させられます。
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by bridgelove | 2008-06-05 06:32 | 神社仏閣の橋